住まいを快適にするこだわりの素材たち(壁編)~暮らしをゆたかにする私たちの仕様~2026.7.6 / 豆知識

以前のコラムでは、「そっと寄り添う素朴でやさしい素材たち」と題して、無垢の木や自然素材が暮らしにもたらす心地よさについてお話ししました。
今回はその続編として、住まいの中でもっとも広い面積を占める「壁」に目を向けてみたいと思います。
床は素足で触れるもの。
家具は手で触れるもの。
では、一番長い時間、私たちの視界に入り続けているものは何でしょう。
それは「壁」です。
だからこそ私たちは、壁を単なる仕上げ材ではなく、暮らしの質を左右する大切な素材だと考えています。
壁は、空気や光をつくる素材

一般的な住宅ではビニールクロスが多く使われています。
施工性が良く、デザインも豊富で、住宅には欠かせない建材です。
一方で、私たちが漆喰や和紙といった自然素材を選ぶのは、見た目だけが理由ではありません。
自然素材の壁は、光をやさしく受け止め、空間に穏やかな陰影を生み出します。
また、素材が持つ調湿性によって、京都特有の蒸し暑い夏や乾燥する冬でも、室内環境を快適に保つ手助けをしてくれます。
自然素材には、数値だけでは表せない心地よさがあります。
毎日暮らしていると、「なんとなく落ち着く」「空気がやさしく感じる」。
そんな感覚を育ててくれる素材なのです。
■ ラインナップ
■ しっくい(漆喰)
■ 和紙


漆喰は、石灰石を焼いてつくられる「消石灰」を主原料とした、日本で古くから使われてきた自然素材です。
城や蔵、町家など、長い年月を経てもなお美しく残る建物に漆喰が使われていることからも、その耐久性や美しさがうかがえます。
左官職人が一面一面を手仕事で仕上げるため、同じ壁は一つとしてありません。
均一ではない、わずかなコテ跡や陰影。
朝・昼・夕方と光が変わるたびに表情を変え、空間に奥行きを与えてくれます。
また、漆喰は適度な調湿性を持ち、室内の湿気を和らげたり、気になる生活臭を吸着したりする働きも期待できます。
見た目の美しさだけでなく、住まいを快適に保つ素材として、今もなお多くの人に選ばれています。
漆喰などの塗り壁は、職人による手仕事だからこそ施工費が高くなることがあります。
そこで私たちがおすすめしているのが、土佐和紙の壁紙です。
土佐和紙は、高知県で千年以上受け継がれてきた伝統的な和紙で、主に**楮(こうぞ)や三椏(みつまた)**などの植物の繊維からつくられています。
長い繊維を絡み合わせてつくられるため丈夫で、自然素材ならではのやさしい質感と温もりが魅力です。
壁紙として施工できるため、漆喰に比べてコストを抑えながら、自然素材ならではの心地よい空間を取り入れることができます。
光をやわらかく受け止める質感。
紙ならではの落ち着いた表情。
そして、ほんの少し空気までやさしく感じられるような雰囲気。
派手さはありませんが、毎日暮らすほどに、その良さを実感できる素材です。
素材を組み合わせるという考え方

私たちの住まいづくりでは、すべての壁を同じ仕上げにすることはあまりありません。
例えば、
リビングは漆喰。
寝室は土佐和紙。
水まわりは機能性を重視した壁材。
そんなふうに、空間の役割やご予算に合わせて素材を選び、それぞれの良さを活かした設計を心掛けています。
無垢の床、木製家具、自然素材の壁。
それぞれが主張しすぎることなく調和することで、年月を重ねるほど愛着が深まる住まいが生まれます。


私たちが大切にしていること
自然素材を使うこと自体が目的ではありません。
本当に大切なのは、その素材が暮らしにどう寄り添うかです。
住まいは完成した瞬間ではなく、そこから何十年も暮らしが続いていきます。
毎日目にする壁だからこそ、空気が心地よく、光がやわらかく、時間とともに味わいが深まる素材を選びたい。
そして、その選択がご家族にとって無理のないものであることも大切です。
私たちは、ご予算も含めて一緒に考えながら、その住まいに最もふさわしい素材をご提案しています。
自然素材は、特別な人だけのものではありません。
毎日の暮らしを少しだけ豊かにしてくれる、身近な存在であってほしい。
それが、私たち岡田央建築工房が考える「暮らしをゆたかにする壁」のあり方です。





